抗がん剤治療の方法論について

抗がん剤治療の方法論について

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戦後、抗がん剤が使われ始めた頃は、その薬の耐性ができるまで、一つの抗がん剤を使い続ける方法がとられていました。しかし1950年代以降、種類の違う抗がん剤を併行して使う、多剤併用療法の効果が認められるようになりました。

 

がん細胞集団は、自己複製を繰り返して子孫を作り続けるがん幹細胞と、その子孫のがん幹細胞から構成される集団であることがわかってきました。つまりホモジニアス(均一)ではなく、ヘテロジニアス(不均一)な集団なのです。

 

しかも、がん細胞は分裂のたびに性質を変え、多様化していきます。そこで、複数の抗がん剤を同時に使えば、多様化したがん細胞に一度に対応することができるのです。このような多剤併用療法によって、がん細胞は薬剤耐性を持ちにくくなるとも考えられています。

 

多剤併用療法を行う際のポイントは3つあります。

 

  • 患者のがんに有効な抗がん剤を使うこと。
  • 毒性と作用の仕組みが違う薬剤を使うこと。
  • それぞれの薬剤に必要な血中濃度を保つこと。

 

 

ただ、これらのポイントを守っても、抗がん剤の多くには、骨髄の働きを低下させるという副作用があります。免疫システムにとって大切な、好中球という白血球の一種が減っていくので、患者の命に関わってきます。ですから、併用療法の投与量や間隔には充分に注意を払う必要があります。

 

最近では、一回の投与量を増やすよりも間隔を短くするほうが効果的だとされています。そうすることで、がん細胞に再び増殖する隙を与えないようにするのです。多剤併用療法のひとつに、モジュレーターと呼ばれる増強剤を併用する方法があります。

 

増強剤が、抗がん剤の患者の体で分解される過程や、働く仕組みを変えることで、抗がん剤のがん細胞を死滅させる力を強めたり、副作用を軽減させたりするのです。併用療法で効果があがっている例としては、大腸がん治療に、抗がん剤フルオロウラシルと、増強剤レボホリナートを投与する方法があります。

 

フルオロウラシルは、がん細胞のDNAの材料をつくる酵素を妨害するのですが、レボホリナートがこの酵素と結合することで、フルオラシルの効果を強めます。この組み合わせは、治療の効果を非常に高め、患者の命をのばすことも実証されています。


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