医療においてのエビデンスとは?

医療においてのエビデンスとは?

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かつて医療が、その医師の経験、学習、あるいは直観をもとに行われていた時代がありました。そのため、医師や地域によって、診療内容や治療法が大きく異なっていました。このことは、アメリカの内科医、ルイス・トーマスが「医学はもっとも野蛮な科学である」という言葉で指摘しています。

 

しかし時代は変わり、現在では医学は客観的な評価、科学的真実に基づくことが必要とされています。EBMがまさに現代医療のあり方をあらわしています。EBM(Evidenced Based Medicine)とは根拠にもとづく医学と訳されますが、手に入る限りの信憑性のある文献、臨床結果を用い、患者の状況、価値観を考慮に入れた医療を行うための指針です。

 

EBM普及の例としてあげられるのは、ランダム化比較試験(比較対象をランダムに振り分けて行う治験)を行い、評価の偏りを避け、客観的に治療効果を評価したり、プラセボ効果(心理的効果によって実際には効き目のない薬で症状が改善したりする作用)を見分けられるようになったことなどです。

 

このように、臨床試験が標準化されることで、信頼のおけるデータが集められ、昨今の情報IT化の手だすけもあり、世界的な診療の標準化が進んでいます。EBMが普及することで、医学は治療効果をあげることだけを目標とするのではなく、医療の透明化がはかられたり、医学教育が改善されたりするなど、医療現場における意思決定にも大きく影響を与えています。

 

医療においてのエビデンスとは?

 

ガイドラインは、すべての患者には適用できない

 

EBMの観点から適切ながん治療を行えるよう、医師や患者のために様々なガイドラインが引かれています。これらのガイドラインは治療を標準化し、安全の確保と治療効果をあげることを目標としつつ、患者と医師側が理解し合えるようにするためのものです。

 

とはいえ、ガイドラインはすべての患者に適用できるわけではなく、実質5〜6割の患者にしか適用されないといわれています。患者個々のがんは、多様性をきわめるうえ、ひとたび転移や再発が起きれば、治療効果と副作用のバランスをとりながら、慎重に治療を進めていかなければなりません。ガイドライン通りに治療を進めるのはきわめて困難です。

 

インターネットで欧米のがん治療のガイドラインを閲覧できるようになりましたが、日本と欧米では、医療体制やがんの治療成績だけでなく、患者の体質や生活環境にも違いがあることから、ガイドラインにも相違があることを認識しなければなりません。


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