がん幹細胞が脳腫瘍を再発させる

がん幹細胞が脳腫瘍を再発させる

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胎児期の人間の脳は急速に成長しますが、脳室の神経外胚葉から血管内皮成長因子をたっぷりとつくり出して血管をつくります。神経幹細胞はこうやって作成された血管の近くに分布しています。

 

そして、神経幹細胞の未分化性や自己複製は、その細胞の表面に現れているノッチ受容体という膜たんぱく質がはたらくことで保たれ、誘導されます。これは「ノッチ経路」とよばれている反応ルートです。

 

がん幹細胞が脳腫瘍を再発させる

 

悪性の脳腫瘍の神経膠芽腫のがん細胞の中にも、高DNA損傷修復能力と薬剤耐性をもっていて、がんの再発に関係すると思われるがん幹細胞が存在すると考えられてきました。もともと、神経膠芽腫は血管がたくさんある腫瘍ですが、実際にがん幹細胞が血管の近くに局在することも分かっています。

 

面白いことに、腫瘍の中の血管をつくっている血管内皮細胞とがん幹細胞を一緒に免疫不全マウスに植えつけると、がん幹細胞のみを植えつけた時よりがんが発生しやすくなります。つまりこれは、がん幹細胞の増殖を腫瘍内の血管が誘導しているということです。

 

 

この場合は、血管内皮細胞が作成した幹細胞増殖因子として、酸化窒素があげられています。この酸化窒素は、以前書いたノッチ経路の活性化を誘導するので、がん幹細胞の自己複製を導くものだと考えられています。

 

また逆にがん幹細胞は、血管内皮細胞が低酸素状態に陥ったときに、細胞死を抑える機能をもっていると考えられています。がん幹細胞と血管は、このように密接な相互作用を運営しているようです。


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