がん幹細胞を死滅させる治療法とは?

がん幹細胞を死滅させる治療法とは?

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がんの最新治療の研究目標として近年注目を集めているのが、がん幹細胞へのアプローチです。ただ、胎児期で自己複製を活発に行っている最中のがん幹細胞と、成体となり休眠期にあるがん幹細胞のどちらにアプローチした治療がよいのかは、未だ専門家の間で議論となっています。

 

体に休眠中のがん幹細胞が潜んでいる場合、一見がんが治ったように見えても、将来再発の可能性があります。一方活性化したがん幹細胞は、治療に対し抵抗をすることでさらに転移したり、浸潤したりしてしまいます。つまり、同じがん幹細胞でも、休眠中のものと増殖中のものとでは治療のアプローチを変える必要があるのです。

 

とはいえ、休眠していたがんが再発した場合、いずれにせよ活性化したがん幹細胞がそのがんの進み具合を決めてしまうと考えると、活性化したがん幹細胞を死滅させるための治療薬が必要であるといえます。

 

従来の分子標的薬は、がん細胞の転移や増殖に関係する分子の働きを妨げるもので、その点においては効果が実証されていますが、今現在、がん幹細胞に対して特異的な作用を及ぼす治療薬は公表されていません。

 

近年、医薬研究機関においても、がん幹細胞をターゲットとする薬の開発がさかんに進められていますので、将来的には、さらに効果のあるがん治療薬が臨床で使われることになるかもしれません。

 

がん幹細胞を死滅させる治療法とは?

 

ニッチを破綻させるにはどうするか?

 

がん幹細胞は、ニッチ細胞と呼ばれる、がん幹細胞にとって最適な環境を構成する細胞の集団に囲まれて生存していると考えられています。そこで、がん幹細胞に直接作用する新薬が開発されたとしても、がん幹細胞がニッチに守られている限り、幹細胞に薬が届かないのではないかという疑問が浮かびます。つまり、ニッチを破綻させる必要があるのではないかということです。

 

がん幹細胞は、血管の近くで増殖していることが多いからといって、薬を血液の流れにのせれば、幹細胞に作用するというわけではありません。がん幹細胞が血管の近くに存在するとしても、そこが低酸素状態であることがあり、そのような場所には薬剤が届きません。腫瘍内では、特に低酸素の傾向があります。

 

がん幹細胞は低酸素状態でも生きのびることができます。がん幹細胞に直接作用させる薬剤をつくるには、まずその薬剤に低酸素血管を破綻させる力が必要なことがわかります。さらに、最近ではがん幹細胞マーカーが開発されたことにより、がん幹細胞のニッチの場所もわかるようになってきました。

 

ニッチの場所がわかれば、がん幹細胞の潜む血管が特異的に作用している分子を利用することで、がん幹細胞のニッチ細胞を標的とすることも可能になります。これを実現する新薬の開発が期待されています。


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