がん幹細胞の転移について

がん幹細胞の転移について

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正常組織の幹細胞は、自分が生きていくための環境を探し回り、良い場所に定着(ホーミング)する高い能力をもっています。これと同じようにがん幹細胞にもそういった能力があり、原発巣のがん組織よりももっと良い環境を求めて、患者の体の中を移動します。

 

こうした細胞は腫瘍から離れて血管やリンパ管に流れ込み、血液やリンパ液の流れに乗って体のいろんな所に移動し、良い場所が見つかったらそこで定着して腫瘍をつくり出します。これを「転移」というのです。

 

がん幹細胞の転移について

 

膵臓がんの実験的モデルでは、臓器の端の部分へと浸潤していく腫瘍の先端部分に転移する力をもった細胞があり、この細胞を取り去って腫瘍を作らせると転移が起こらなくなるという報告があります。

 

また、乳がんでもCD44抗原が陽性、DC24抗原が陰性の細胞は、転移の所見である腹水の中で簡単に見つけることができます。そして骨髄の中で発見される乳がん細胞が、がん幹細胞の表現型を示していることも発見されています。

 

 

このように、がん幹細胞は自発的に自分が落ち着く場所を探し出し、そこに定着したあと、新しく腫瘍組織をつくり続けると考えられています。がんが転移することは、死亡へとつながる大きな原因となっていることはよく知られています。つまり、がんの転移を抑えることができれば、脅威はかなり抑えられるということです。

 

しかし、転移しようと考えているがん幹細胞が、眠ったまま居場所を探しているとは考えにくいですね。そこで、医療現場でがん幹細胞を治療の対象とするときは、眠っているものではなく活発に運動しているがん幹細胞がターゲットになるはずです。


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