がんの転移を防止するには、2つの方法がある

がんの転移を防止するには、2つの方法がある

このエントリーをはてなブックマークに追加  

がんの転移のプロセスが解明されている現在、がん転移防止のために、原発がんからがん細胞が剥がれ落ちるのを防止することはできるのか、剥がれ落ちた細胞が他の臓器に定着しないようにするにはどうすればよいのか、この二つのアプローチで研究が進められています。

 

ドイツがん研究センターでは、悪性黒色種(メラノーマ)を材料にこの研究が進められています。悪性黒色腫とは、皮膚がんの中でも最も悪性が高く、がん発生とともに皮膚、脳、肺などに転移を始める危険性があります。つまり、死亡率が高いのです。

 

同研究センターで腫瘍について研究している生物学者ヨッヘン・ヘスは、悪性黒色腫は発生率こそ低いものの、ひとたび発生すると、恐るべき勢いで成長していく、といっています。彼らの研究チームでは、がん転移を初期段階で防止するために、腫瘍の成長について、分子レベルで研究している最中です。彼らは、すでにKLK6と呼ばれる分子を発見しており、これが、悪性黒色腫の変性に関係しているだけでなく、転移の初期段階にも関係していることがわかってきました。

 

KLK6とはタンパク質のひとつで、例えば傷が治る時に、傷と皮膚組織をつなぐ細胞を切り離して、傷口を閉じる働きをします。ある種の皮膚がんが健康な組織に入り込むときにも、同じ仕組みで正常な細胞同士を切り離して入り込んでいくことがわかっています。

 

がんの転移を防止するには、2つの方法がある

 

しかし、彼らの研究によって、他の皮膚がんと違い、悪性黒色腫の場合はみずからこのKLK6をつくらずに、まわりの健康な細胞にこの切り離しの作業をさせることがわかったのです。さらにこの腫瘍において、KLK6が増えるときにはがん細胞も活発になることもわかりました。この事実から、KLK6は悪性黒色腫のがん細胞からカルシウムイオンを放出させ、がん細胞の動きを活発にしていると考えたのです。

 

KLK6はがん細胞の動きを高め、そしてその動きのために空間をつくる、という2つの働きをもっていることになります。KLK6の発見とその働きが明らかになったことで、がん治療に応用できる可能性がでてきました。血液中のKLK6の量を測ることで、転移の可能性を推測でき、さらにKLK6の働きを抑えることに成功すれば、転移も防ぐことができるかも知れないのです。


このエントリーをはてなブックマークに追加