がん幹細胞を死滅させる方法とは?

がん幹細胞を死滅させる方法とは?

このエントリーをはてなブックマークに追加  

がんの治療法に目を向けてみましょう。がん発生過程で、がん幹細胞を死滅させるにはどうしたらよいでしょうか。がん幹細胞を破壊するには、活発に増殖しているものだけでなく、休眠期の細胞も標的にしなければなりません。休眠中の細胞は、微量の酸素とエネルギーだけで生きながらえるので、小さな隙間であるニッチに潜んでいます。これは治療において、抗がん剤にさらすことが難しいことを意味します。

 

そこでトランプらが、2010年に発表した治療法は、休眠中のがん幹細胞を目覚めさせ、潜んでいたニッチから出てきたところをやっつけるという手法でした。この手法が功を奏したのが、慢性骨髄性白血病の治療です。このがんには、2001年から製薬会社ノバルティスファーマとアメリカの腫瘍学者ブライアン・ドラッガーの共同開発による、イマチニブという新薬が使われるようになりました。

 

がん幹細胞を死滅させる方法とは?

 

この新しい抗がん剤は、活発に分裂している細胞を単純に攻撃するだけのこれまでの薬と違い、がん細胞を表面の分子から見極めて、ターゲットとする分子標的薬です。ただ、持続性が2〜3週間と短いイマチニブは、がんを完全に退治することができません。なぜなら骨髄に潜んでいるがん幹細胞は、この薬に対し抵抗して、血中にがん細胞をうみ出し続けるからです。

 

そこで、潜んでいる悪性細胞を、ニッチである骨髄から抗がん剤の中へ導きだそうという手法が考え出されたのです。この手法に一役買うのが、抗ウイルス薬のインターフェロンです。イマチニブの投薬をやめたがん患者のうち、その前にインターフェロンによる治療を受けていた患者だけが、その後2年以上経過してもがんが再発しなかったという観察結果が報告されました。

 

 

このことから、おそらくインターフェロンが、がん幹細胞をニッチの外に誘い出す働きをし、その後のイマチニブ治療がすべてのがん幹細胞を壊滅させたことが推測できます。ニッチの中に潜むがん幹細胞を、外へと誘い出し攻撃するというトランプの2段階治療手法に効果がみえてきました。

 

この観察報告からわかるのは、がん幹細胞がニッチに潜んでいる間は、化学療法の効果が薄いが、休眠期から目覚めて分裂をはじめると化学療法に絶大なる効果が発揮されるということです。

 

ドイツのハイデルベルグ研究所だけでなく、日本やアメリカの研究者もこのような手法でがんの治療にアプローチしているところです。トランプはいっています。がん幹細胞をターゲットとした、より効果の高い治療法を見つけ出せたならば、がんの根本的な原因を解明し、再発を防ぐことが可能になるでしょう、と。


このエントリーをはてなブックマークに追加