人はなぜガンになるのか?

単細胞生物は、がんにならない

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小さくて単純な生物、たとえば大腸菌や酵母、ゾウリムシなどはがんになるのでしょうか?これらは単細胞生物といって、細胞一つずつが独立してできている個体です。

 

なので、もしそこに腫瘍のような性質の細胞が生まれたとしても、それは単に増殖を繰り返す1個の生物(個体)としてしか認識されないので、腫瘍は多細胞生物にのみ存在する異常ということになります。

 

単細胞生物は、がんにならない

 

では、すべての多細胞生物に腫瘍はできるのでしょうか?ショウジョウバエと同じくらい遺伝子学的な研究によく使われているモデル生物には、小さな虫であるCエレガンス(線虫)があります。

 

彼らの体長は1・2ミリほどで、1000個に満たない細胞から成り立っているのですが、線虫の体内には、神経、筋肉、消化器、生殖器などがそろっていて、他の生物に寄生して生きているわけではなく、自立して立派に餌(細菌など)を食べて生きています。

 

 

実は、不思議なことに、この生物からは腫瘍は見つかっていません。どこからこの差が生じたのかは、腫瘍の本質にもかかわる大事な問題なのですが、現在ではよくわかっていません。寿命がわずか数週間と長くないことや、非常に個体発生のプログラムが厳しいことなどと関係しているのかもしれません。

 

たとえば哺乳類では、個体発生の途中の細胞を殺してしまうと、まわりの細胞が変化してその代役になります。しかし、Cエレガンスの細胞にはそういった融通性はありません。とはいえ、Cエレガンスは特殊な例外だとしても、多細胞生物のあいだで腫瘍は広く存在しており、宿命的な病気であることは間違いないでしょう。


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